サウジと日本 なぜか似た景色

サウジと日本、なぜか似た景色・・・お気に入りの風景

アラビア半島には5色の沙漠があるという。
しかし私は、その中で最も美しいのはサウジアラビアの赤い沙漠だと信じている。特に、サラサラと動く砂の中からニョキッと突き出た奇岩のある風景が、紺碧の空と対比している姿は、神々しくさえある。酸化鉄の成分により赤褐色に染まった砂と、大地から隆起した巨岩が長い年月をかけて風化し何とも言えぬ不思議な造形を成した奇岩の山々。私が最も愛する風景だ。サウジアラビア北部にあるマダインサーレハ遺跡も、巨大な奇岩を繰り抜いて作られた墳墓群である。
ところで、私が好きな日本の風景は、日本海側の冬の雪国だ。真っ白い雪がすべての景色を包み、まるで墨絵である。単色に染まったその世界は、色は違うが、サウジアラビアの沙漠の景色と似ている。一面の雪は、なぜか一面の砂を思い起こさせるのだ。それはたぶん、雪と砂、そのどちらもが全てのものを覆いつくした、心に突き刺さるような美しさを放っているからだ。
雪国の積雪は、4mにもなる。厳しい冬の間、雪と戦い続ける人々の姿には、沙漠で過酷な自然と対峙する遊牧民に通じるものがある。ここに、一見相反する環境であるにもかかわらず、共通したサムライ魂を感じるのだ。なぜ、沙漠と雪国の風景が私を魅了するのか、その答えがここにはある。

(アラブイスラーム学院誌「タワースル」寄稿)