第四に、何でも冷蔵庫に入れておかないとカリカリに乾燥したり、品質が落ちたりする。
お米もペットボトルに移し換えて冷蔵庫に入れておくと、かなり状態よく保存できる。
また、ものによっては発酵してしまうこともある。
こんなことがあった。船便で日本から送られたきた味噌を、「待ってました!」とばかりに蓋を開けようとしらその瞬間、「バーン」と音がして破裂した!
気が付けば、天井も服も味噌だらけ。パックの中身はカラッポ・・・。
「やっときた、貴重な味噌がぁ・・・」
泣くに泣けなかった。おそらく、長い船旅の間に発酵が進んでしまったのだろう。
第五に、水道から出てくる「水」は地熱で温められた「お湯」!「水」はあらかじめ冷蔵庫で冷やして「作るもの」なのだ。そうめんを茹でたけど、水がなくて洗えない、ということのないように準備しなくてはならない。
最後に、家族が「三食」を「毎日」家でとる、というサウジならではの事情がある。
多くの企業で昼休みが三時間ほどあり、前述したように、いったん帰宅して昼食をとり昼寝してからまた午後出勤する、という生活パターンだ。
昼のお祈りタイムにはどのレストランも閉店することが義務付けられているので、外食もままならない。
また仕事の帰りに「ちょっと一杯」はあり得ないので、夫はまっすぐ帰宅する。
夕食を毎日家でとるなんて、日本の生活では考えられないことだ。
とにかく、このような環境での料理は「大仕事」だが、逆にオモシロイ。
旬のものが自然な状態で手に入る上、野菜や果物は豊富で甘いのだ。
参考までに、我が家の「ある日の大仕事」をご披露しよう。
紅海の「タイ科熱帯魚」の焼き物、「丸ごと一匹買った鶏肉」と「湾曲したキュウリ」の和え物、乾燥ごぼうの煮物、600円もする、「古くて黒い納豆」。
夫が叫ぶ。
「納豆!今日はゴチソウだ!}
「恋するサウジ」 角川書店より